アルジャーノンに花束を
〜氷室京介 - Flowers for Algernon - 〜

いろいろなところで記事になったりTVでも報道されりましたが、耳の不調を理由に、2014年07月に氷室京介さんがステージ活動からの引退を宣言しました。本当に残念ですが、ここ数年は、かなり厳しい状態でライブ活動を行っていたようです。

このサイトでも氷室さんが敬愛するミキシング・エンジニア「ニール・ドーフスマン(Neil Dorfsman)」であったり、「作詞のステップアップ講座」などで、氷室さんのことは触れたことがありますが、ライブパフォーマンスだけでなく、作品制作も本当にプロフェッショナルなアーティストです。

氷室京介「DEAR ALGERNON」

アルジャーノンに花束を

今回は氷室京介さんのソロ活動開始後の2枚目のシングル曲「DEAR ALGERNON(ディア・アルジャーノン)」について敬意を込めて書きたいと思います。

ソロでもセルフカバーしているBOØWY時代の名曲「Cloudy Heart」と、どちらの楽曲にしようか悩んだのですが、「DEAR ALGERNON」のほうが、知らない人にも氷室さんの魅力が伝わるのではないかなと思い「DEAR ALGERNON」を選びました。

ちょっと調べれば分かると思いますので、細かいことは書きませんが、「アルジャーノン」は、日本でもベストセラーになったダニエル・キイスの小説『アルジャーノンに花束を』のなかに出てくる実験用のネズミのことです。

「DEAR ALGERNON」も収録されている氷室さんのファーストアルバムのタイトルは『Flowers for Algernon(アルジャーノンに花束を)』と、ダニエル・キイスの小説のタイトルを、そのまま付けていますので、どれだけ氷室さんが、この小説に感銘を受けたかが分かるのではないでしょうか。

 

<小説『アルジャーノンに花束を』>

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

32歳になっても幼児の知能しかないパン屋の店員チャーリイ・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が頭をよくしてくれるというのだ。

この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受けることに。やがて手術により、チャーリイは天才に変貌したが…超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代のバイブル。(「BOOK」データベースより)

 

弾かれながら 何のため叫ぶのさ

出所は忘れてしまいましたが、当時、氷室さんが「この曲を、これからも大切に歌ってゆこう」というコメントを残していた記憶があります。

わたしは「DEAR ALGERNON」の「傷だらけの魂よ」「ただのクズでいいぜ」「弾かれながら 何のため叫ぶのさ」のフレーズがすごく好きです。

このフレーズは引退発表後の氷室さんのコメント「自分なりの矜持(きょうじ)があって、ダサくても格好悪くても、ダウンしたら必ず立ち上がる。そうすれば、無様から生き様になる。でも今回は正直つらかった」と、どうしてもリンクします。

完璧主義者であるがゆえに、聴力の悪化は悔しさを感じていたと思います。ボロボロになりながらもステージに立つ氷室さんの「DEAR ALGERNON」の歌詞「何のため叫ぶのさ」が胸に突き刺さります。

また、ライブからの引退発表の約1ヶ月前に作家のダニエル・キイス氏が2014年06月15日に86歳で亡くなりました。どのような関係があるのかは、全く分からないのですが、「人に寿命があるように、これが俺のミュージシャンとしての寿命」と話した氷室さんともリンクしてしまいます。

次回「DEAR ALGERNON | 氷室京介さんに敬意を込めて 後編」ではマスタリングエンジニアやミキシングエンジニアにもふれながら「DEAR ALGERNON」のおすすめ収録アルバムを紹介したいと思います。

小説も、もちろん読みましたが、わたしは小説より先に日本でも2002年にユースケ・サンタマリアさんと菅野美穂さん主演でテレビドラマ化された『アルジャーノンに花束を』を観ました。

 

<ドラマ『アルジャーノンに花束を』>

アルジャーノンに花束を DVD-BOX

フジテレビ系にて放送されたユースケ・サンタマリア主演で贈るドラマ。「本当に大切なことは何か」「本当の幸せとは何か」をテーマに、生まれながらの知的障害者とその周囲を描く。

共演は菅野美穂、吉沢悠ほか。原作はダニエル・キイス。

 
 

記事公開日:2014年09月28日
 


アルジャーノンに花束を | 氷室京介さんに敬意を込めて 前編