ミックス時に使用するEQ(イコライザー) 〜ミックスダウンのステップアップ実践講座〜

標準で付属しているものも含めて、さまざまな種類のプラグインを所有していると思いますが、ミックス時に使用する最重要プラグイン・エフェクトを紹介します。

今回はミックスダウンの必須プラグインである「EQ(イコライザー)」を紹介しますが、いろいろな物に手を出すまえに、まずはイコライザーの使い方をマスターしましょう。

ミックス時のイコライザー(EQ)の役割と種類

ミックス時のイコライザー役割

ミックスダウン時に、すべてのトラックに使用すると言っても間違いがないのがイコライザー(EQ)です。

ボーカル、ドラム、ベース、ギターをはじめ、EQでは各パートの「音のキャラクター作り」「音質補正」「不要帯域カット」などを行います。

EQには「グラフィック・イコライザー」と「パラメトリック・イコライザー」の2種類があり、主にミックス時はパラメトリック・イコライザーが使用されます。

ミックス時のグラフィック・イコライザー

グラフィックEQ「IK Multimedia EQ PG」

周波数や変化幅はあらかじめ設定され特定の音域を調整するグラフィックイコライザーを、ミックス時には使用しない人もいますが、使用する場合は「音のキャラクター作り」と「音質補正」に使用します。

画像はIK Multimediaの「EQ PG(旧名称:EQ P60G)」はアメリカン・サウンドを象徴とも言えるEQ名機「API 560」をモデリングしたと言われている10バンドのグラフィックEQです。

グラフィックEQ「EQ PG」は「スネアドラムの強調」「埋もれているボーカル・トラックの補正」など「音質補正」や「音のキャラクター作り」に使用することができます。

<参考ページ>
APIをモデリングしたプラグイン「EQ PA」「EQ PB」「EQ PG」

ミックス時に使用するのはパラメトリックイコライザー

Studio One「Pro EQ」

パラメトリック・イコライザーは「Frequency(周波数)」「Gain(増減の量)」「Q(変化幅)」の3つを調整して使用するEQです。

ミックス時に主に使用するのは周波数と変化幅を自由に設定することのできるパラメトリック・イコライザーで「不要帯域カット」「被っている帯域の調整」など、ミックスの鍵を握るエフェクターです。

最近は各周波数帯を視覚的に捉えることのできるアナライザー機能を搭載するEQが非常に増えています。

画像のStudio Oneに標準でバンドルする「Pro EQ」も、アナライザー機能を搭載していて、周波数帯を見ることができます。

ミックス時のEQ処理のポイントとオススメEQ

被っている帯域のEQ調整は感覚で行うのは難しい

ミックスダウンのEQ処理の大きなポイントは、よく話題になるのがキックとベースの関係ですが、各パートで被っている帯域を調整することです。

EQ処理で「音のキャラクター作り」と「音質補正」に関してはプラグインのプリセットを使用して、感覚的に低域、中高域をイコライジングすれば、ある程度、誰でも納得の行くものができあがります。

しかし「不要帯域カット」とマスキング処理と呼ばれている「被っている帯域の調整」は、感覚的なEQ作業は非常に難しく、ミックスが苦手という人の多くは、特に各パートの「被っている帯域の調整」ができていないという状況だと思います。

このサイトで公開しているミックスダウンの落とし穴から抜け出せない大きな原因として「被っている帯域の調整」ができていないということがあげられます。

先行して公開した「素人っぽさから抜け出すミックスの3つのポイント」のなかでも紹介しましたが「マスキング処理」ができない限りは、どれだけプロのミキシングエンジニアが推奨する高額なプラグインを使用しても、ミックスの技術はなかなか向上しません。

自動イコライジング機能を搭載するイコライザー

自動イコライジング機能「Sonible smart:EQ 2」

時代は変わり「AI」という言葉が日常的に聞かれるようになりましたが、音楽制作の世界でも、その波は確実に来ていて、「AI」を宣伝文句にした自動イコライジング機能を搭載するイコライザーも登場しています。

わたしが所有している自動イコライジング機能を搭載しているのはSonible「smart:EQ 2」と「iZotope Neutron(ニュートロン)」ですが、完全に任せることはできませんが、イコライジングのひとつの目安には間違いなくなります。

<参考ページ>
smart:EQ 2 – 自動イコライジング機能を搭載するSonibleのプラグイン

ミックス時にオススメのEQは「FabFilter Pro-Q3」

オススメEQ「FabFilter Pro-Q3」

各パートの「被っている帯域の調整」ができるイコライザーは「iZotope Neutron」と「FabFilter Pro-Q3」が代表されますが、オススメEQは世界的な定番になっている「FabFilter Pro-Q3」です。

自動イコライジング機能は「FabFilter Pro-Q3」はありませんが、とにかく「Pro-Q3」は多機能イコライザーで、ミックスの「不要帯域カット」と「被っている帯域の調整」に関して言えば、「Pro-Q3」だけで充分で、極端な書き方をしてしまえば、他のイコライザーは必要ありません。

個人的に前バージョン「Pro-Q2」を使用していて、非常に満足していたため、「Pro-Q3」へのアップデートが少し遅かったのですが、「もっと早くアップデートしておけば良かった」と思えるクオリティーの高いバージョンアップになったマストプラグインです。

次回「ミックスダウンのステップアップ実践講座」の予告

今回は「ミックス時のイコライザー」について書きましたが、次回「ミックスダウンのステップアップ実践講座」では、ミックスダウン時のコンプレッサーとチャンネルストリップについて書きます。

> ミックス時に使用するコンプレッサー(コンプ)

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