ボーカリストとしての意識と録音ツール

ボーカリストとしての意識と録音ツール
DTM、DAWのスタンダード化により、自宅録音の環境が整った現在では誰でもそこそこな作品ができてしまいます。

そのような状況のなかでは、鼻歌やラインを使わずにエアレベルで録音した引き語りの曲であったり、カラオケBOXなどで作ったデモ音源を「これが私です。」と手渡したとしても、正直なところ、まったく説得力はありません。

ボーカリストの名刺

デモ音源の差と音楽に取り組む姿勢

「ボーカルだから関係ないや」と思っている方も居ると思いますが、時代が変わり誰でも気軽に低価格で高音質な自宅録音の環境を手に入れることが可能になった現在では、ボーカルのデモ音源の音質にもかなりの差が出てしまっています。

音楽をしている人にとってデモ音源は名刺みたいなものです。ボーカリストが「歌で勝負!」というのは当然のことですが、鼻歌やカラオケBOXなどでマイクを立てたエアレベルで録音した音質では、自分では良いと思っていても、顔も知らない第三者が聴けば、正直なところウンザリしてしまいます。

音質が悪いとワンコーラスどころではなく、サビに行く前に聴くのをやめてしまうというのも、けして珍しくないことで、デモ音源でその人の音楽に取り組む姿勢なども分かってしまいます。

デモ音源を聴き直す

カラオケ文化の普及などにより、ひとりひとりの歌唱力は確実にアップしていますが「ただの歌好きのカラオケ自慢なのか」「表現者としての自分を意識しているボーカリストなのか」など、デモ音源を聴けば一目瞭然です。

そのためにデモを聴く側も音質や、ボーカリストとしての意識に関してはかなりシビアになってきています。

まずは自分のデモ音源を聴き直してみてください。特にプロ志向のボーカルの方で、「プロ志望はデモ音源をチェックしよう」に「デモ音源チェック項目」に一つでもあてはまっている方は要注意です。

プロ志望はデモ音源をチェックしよう
プロ志望の人に向けて、まともに聴いてもらえない評価されないデモ音源(デモテープ)について説明しているページです。内容は「自分の音源をチェックする」「音質が問題にならない場合」「デモ音源は名刺みたいなもの」「デモ音源の第一印象とクオリティーは重要」などです。

声とは生きた証である ~ボーカリストも声は変わって行く~

今ではストリーミング、CD、mp3で音楽を聴くことがが主流ですが、昔は音楽をレコードで聴いていた時代もあります。

レコードという言葉のもともとの意味は「記録」です。ボーカリストも年を積み重ねるごとに、声は少しずつ変わって行きます。

「声とは生きた証である」と述べる有名なシンガーもいるように、歌の上手い下手は別にして、それぞれの人がその時期の声や感情を自己満足ではなく、何年経っても人に聴かせることのできる良い音質で残し記録しておくほうがいろいろな意味で良いと思います。

マイクなどの録音ツールを検討

一緒に高めあえる音楽仲間を探す

ネット環境の整った現在では、プロ/アマ問わずオンラインで音をやり取りするのはけして珍しいことではありません。

プロでの活動を視野に入れたレベルの高い音楽活動をしたいけれど周りに「音楽仲間がいない」、もしくは「音楽仲間がいなかった」というボーカリストの方も、たくさんいると思います。

前へ進むために、ネットで作編曲をしてくれるサウンドクリエーターを探し「一緒に高めあって行こう」というのは、最近では良くある話です。

相手に実力を認めてもらう ~自分のデモのレベルの音楽仲間~

確かにレベルの高いサウンドクリエーターが身近にいる方のほうが珍しいと思うので、ネットで作曲や編曲をしてくれるサウンドクリエーターを探すという方法は間違いではないと思います。

しかし、ボイトレとか歌唱力以前の問題で、ネット上では自分のデモのレベルに見合ったサウンドクリエーターしか見つからないと考えておいたほうが良いです。

また、サウンドクリエーターのレベルもピンからキリまでですので、必須スキルになりつつある、ある程度の「ミックスダウン」や「マスタリング」のできないサウンドクリエーター志望の方と一緒に音楽活動をしても、何も結果が出ないで終わる可能性のほうが高いので注意が必要です。

レベルの高いサウンドクリエーターを探し

プロでの活動を視野に入れたレベルの高いサウンドクリエーターを探すのであれば、ボランティアで、見知らぬ人の制作してくれる方は少ないと思います。

そのためマイクをはじめとする最低限の録音ツールを揃えるなどして、サウンドクリエーターにもメリットがあるようなレベルまでボーカルの録音のクオリティーレベルを高め、相手に実力を認めてもらう必要があります。

このことができなければ、ネット上でボーカルの方がメンバーを探すのはかなり難しいです。

自宅でボーカル録音

最低限の録音ツールを揃える

もちろんボーカリストにサウンドクリエーターレベルの作編曲、ミックスダウン、マスタリングなどのスキルは必要ありませんが、今までに自分の思い描いたような作品にならないで悔しい思いをされてきた方は、自分で目的を明確にして動かなければ現状を打開することはできません。

そのため、ボーカル用マイクなどの最低限の録音ツールを揃えて、ボーカルトラックだけを抜き出すことを覚えておいたほうが良いです。それだけでもかなり状況が変わってくると思います。

ボーカル録音は本当に簡単

DAWソフトやMTRを使ったボーカル録音は本当に簡単です。上手く歌えた箇所だけを切り張りして、1つのボーカルトラックを作ることも本当に容易にできます。それだけではなく録音ツールを揃えることで自分の歌った曲を客観的に聴き直すことができるので、ボーカルトレーニングにも役立ちます。

また、ある程度のキャリアを積めば、楽曲コンペの仮歌などの仕事を自宅にいながらでき、そこからプロのボーカリストとしての道が開くことができる可能性もあるので、ボーカリストの方が録音ツールを揃えるということを検討する価値は充分にあります。

音楽制作をこれから始めようとする初心者の方は、「初心者のための宅録スタジオ・ガイド – はじめての自宅音楽スタジオ」で、「宅録って何?」「宅録スタジオでできること」「ボーカル録音の環境を整える」「しっかりとした宅録環境は必要か?」などを解説していますので参照してみて下さい。

初心者のための宅録スタジオ・ガイド – はじめての自宅音楽スタジオ
初心者の人のためにDTM・DAWをメインにした宅録スタジオについて紹介しているページです。「宅録でできること」「ボーカル録音の環境を整える」「しっかりとした宅録環境は必要か?」など。2023年11月に約7年ぶり更新しました。

また「録音時のマイクセッティング」「ボーカルのディレクション」「ボーカル・レコーディング時の注意」など、KSTYさんのサイトに書かれているボーカリストに向けたボーカル録音ガイド「歌い手・ボーカリストのためのボーカル録音ガイド」が非常に参考になります。

歌い手・ボーカリストのためのボーカル録音ガイド
歌い手・ボーカリストのためのマイク + オーディオ・インターフェイスでのボーカル録音ガイド。「ボーカル録音時のマイクセッティング」「ボーカルのディレクション」「 ボーカル・レコーディン時の注意」「ボーカルのコンピングとトラックの書き出し」などを記載しています。
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