音の入り口マイクの講座
〜ダイナミックマイクとコンデンサーマイク〜
パソコンで音楽制作する上で、ドラム、ベース、シンセなどのオケはすべて打ち込みで、ギターとボーカルだけ、もしくはボーカルだけを生でレコーディングするという方も多数いると思います。
確かに近年の自宅録音ではライン入力やソフトシンセなどを使用して、パソコン内部で処理する比率が圧倒的に増えました。これからもDAWシステムを中心とした音楽制作が進むであろうと考えられますが、ボーカルに関しては、デジタル化した現在でもマイクを通して、アナログからデジタルに変換されパソコンに取り込まれます。
マイクから一度パソコンに取り込まれたボーカルの歌声は、場合によってはアナログに再変換されることもありますが、ほとんどの場合はデジタルのままで、ミックスダウン、マスタリングまで処理されることになります。
2種類のマイク
マイクは音の入り口として、楽曲の音質クオリティーを決める上でも大変に重要な役割を持っています。
そんな音楽制作の上で重要なマイクには、大きく分けると、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類があります。それぞれ構造が違うので、もちろん音の特性も大きく異なります。
ここでは曲の音質を向上させるということを目的に、音質的なことを中心に説明します。とくに現在3000円くらいのカラオケ用のマイクを使用している方は、マイクを変えるだけでも、劇的に音質が向上しますので、自分の声に合ったマイクを選択する上での参考にしてみて下さい。
ダイナミックマイク
ダイナミックマイクはカラオケなどにあるマイクなので皆さんも馴染みがあると思います。代表的なもので1万円前後で買えるSHURE(シュアー)の「SM58」(左画像)や「SM57」があります。ダイナミックマイクの説明で必ず取り上げられる本当に有名なマイクです。
ダイナミックマイクは音質的には中域が強調される傾向にあります。大きい音量の入力に強く、「SM57」はドラムのスネア、ハイハット、シンバルの録音、やギターのアンプ録りなどのにもよく使われます。また非常にダイナミックマイクは丈夫です。
コンデンサーマイク
コンデンサーマイクは値段はピンからキリまであり、マイクケーブルを介してファンタム電源と呼ばれる電源を供給する必要があります。代表的なものでプロのレコーディングの現場でもよく使われ、録音するときの基準となっているNEUMANN(ノイマン)のコンデンサーマイク「U87」や「U67」がありますが、NEUMANNのマイクは高価なことでも有名です。
音質的にはコンデンサーマイクは感度が良く広範囲の音を拾うことができるのでアコースティックギターや、ボーカルなどの音の強弱が大きく、細かい表現をとらえたいパートに特に向いています。
ただし、コンデンサーマイクは湿気や振動に弱く取り扱いが難しいので、はじめてコンデンサーマイクを導入しようとしている方は、低価格ながら定番コンデンサーマイクとなっているRODEの『NT1-A』あたりから導入しましょう。
<2012年 定番マイク追記>
NEUMANN、SHURE、RODEの定番マイクは「メーカー別おすすめスタジオ・マイク」で紹介していますので興味のある方は参照して下さい。
ダイナミックとコンデンサーどちらが良いマイク?
曲調や楽器により使い分ける
ダイナミックとコンデンサーの2つのマイクは高価だから良くて、安価だから悪いという訳ではありません。どちらのマイクにもメリットとデメリットがあり、曲調や楽器により使い分けたり、組み合わせて使うこともあります。
歌入れのためにコンデンサーマイクもしくはダイナミックマイクの購入を考えている方は「マイク購入のススメ」で、定番となっているオススメのマイクを紹介しているのでそちらを参照して下さい。
失敗しない宅録マイク選び
スタジオ・サウンド構築ナビ「失敗しない宅録マイクとモニター選び」の「低価格スタジオ・マイクの定番」では、SHUREの『SM58』や『SM57』、RODE『NT2-A』や『NT1-A』のような予算1〜3万円という低価格でありながら、ダイナミックマイクと、コンデンサーマイクの定番になっている製品を紹介しています。
ボーカル用マイクなどに興味のある方は「低価格スタジオ・マイクの定番」のほうでチェックしてみて下さい。