作詞で英語が使えたほうが良いと言っても、何もTOEICや英検1級レベルの英語力が必要なわけではありません。
英語と聞いて「苦手だ」と感じる人も、もちろんいると思いますが、中学英語レベルの文法が使うことができれば充分に作詞に活かすことができます。
この「作詞の基礎講座 09」では「ワードリスト集と作詞に使える英語」「作詞のなかのキャッチーな英語」「作詞家は英語の引き出しを作っておく」などを書いています。
ワードリスト集と作詞に使える英語
ワードリスト集とは
この作詞講座で使っている「ワードリスト集」とは芸人さんでいう「ネタ帳」みたいなモノです。
使える英語の宝庫である洋画や洋楽から気になったり、気に入った英語をメモ帳であったり、ノートアプリに書き貯めてゆきます。
映画の場合は日本語字幕、英語字幕、日本語吹き替えが付いている作品がオススメです。
わたし自身仕事でピンポイントで発注されたら作詞もしますが、もともとは作編曲家です。
作編曲の依頼を受けプリプロ状態の音源に詞を付けて送ったら、そのまま採用されたという感じで、今でも依頼されたら作詞のほうもそこそこはしています。
個人的に基本的には作詞はボーカリストがするのが一番良いと思っていることもあり、あまり作詞に関してはどん欲ではありません。
そのため専業で作詞をして生活されているプロの作詞家に比べると作詞の「ネタ帳」的なモノはかなり少ないと思います。
それでも大学時代からコツコツと作った「ワードリスト集」がノートにして20冊以上はあります。
アイデアやフレーズの書き貯め使えるツール
2006年にこの作詞講座を公開した当時はアイデアやフレーズの書き貯めやメモには、まだ紙のノートを使っていましたが、2024年12月時点では手書きでの書き貯めはしていません。
2024年現在はWindows、macOS、Android、iOSに対応し、複数のデバイスで共有することのできるノートアプリの「Notion(ノーション)」を使用しています。
それまではノートアプリは「Evernote(エバーノート)」を使用していましたが、改悪がひどすぎて流石に使用は中止しました。
ユーザーからすると気持的にも安心して使えないので「Evernote」のユーザー離れは止まらないはずです。
はじめはちょっと戸惑いがあり、まだ完全に「Notion」を使いこなせているわけではありませんが、基本的な使い方はマスターしました。
Evernoteで縛りのあった複数のデバイスでデータの共有が「Notion」ではできますし、歌詞のアイデアやフレーズの書き貯めツールとしては、かなり使いやすいノートアプリです。
キャッチーな英語とスタンダードなフレーズ
作詞に使えるキャッチーな英語
日常生活のなかで、映画、ドラマ、書籍でも、自分の気に入った言葉や文章をノートやメモ帳にでも、書き留めて、ワードリストを作っておくと非常に作詞に役立ちます。
これはもちろん英語のフレーズを作るときも同じで、作詞に英語を取り入れようとするとき、英語辞書や翻訳サイトを使用して作詞をするという方法を取り入れている人が多いとは思います。
しかし作詞のなかに取り入れる英語で重要なのはメロディーにフィットして響きのよい「使えるキャッチーな英語のフレーズであったり単語」です。
スタンダードな英語のフレーズ「I Love You」
日本のヒット曲のタイトルや歌詞のなかにも「あなたを愛しています」の意味の「I love you」という英語のフレーズ(すでにカタカナ英語かもしれませんが)が良くスタンダードで使われています。
邦楽でタイトルにも使われ、歌詞にも「I love you」が出てくる楽曲だと、チェッカーズ「I Love you, SAYONARA」、GLAY「I LOVE YOUをさがしてる」、B’z「love me, I love you」、加藤ミリヤ「最後のI LOVE YOU」などが思い浮かびます。
そんな中で、尾崎豊さんの「I Love You」がやはり最も有名で、みなさんも良く知っていると思います。
作詞家は英語の引き出しを作っておく
英語の引き出しがないとネタ切れになる
先ほど書いたスタンダードな「I love you」というフレーズを歌詞のなかで使う人は多いですが、英語の言葉の引き出しがなく「I love you」というフレーズしか使うことができないと、すぐにネタ切れになってしまいます。
英語がある程度得意な人は「I love you」というフレーズひとつをとってみても、いろいろと英語のフレーズが浮かんで来るので問題はありません。
しかしそうでない人はメロディーに音数が合わなかったりすると、たちまち応用が効きません。
もちろん「but」や「because」などの接続詞で一時的に解決できることもありますが、やはりその程度の英語のボキャブラリーだと、どうしても作詞では限界があります。
辞書には作詞に使えそうな英語の例文はない
英語が苦手で引き出しがない人はそこで辞書に手を伸ばし、使えそうな気の利いたフレーズを探そうとします。
最近ではネットで簡単に検索することができますので、辞書を手に届くところにおいているという人はいないと思いますが、英語辞書を参考に作詞というのも、それはそれで良いとは思います。
しかし作詞に使える英語のワードリストを作って行くという点では、あまりオススメすることのできる方法ではありません。
それは辞書には一般的な例文は載っていても、作詞に使えるキャッチーな英語のフレーズというのはほとんどないからです。
「ここは英語のほうが絶対にメロディーと一体感が出せるのに」と思っていても、辞書には作詞に使えそうなフレーズはなく、英語の使用を断念することになってしまう可能性が高いです。
英語のワードリストを作っておく
英語が苦手な作詞家でも英語のワードリストを自分で作っておくと以下のような「あなたを愛している」に「ありのまま」とか「そのままの」といった意味の付いた英語のフレーズがワードリストに記載されていたりします。
「I will love you always(あなたのことをいつも愛している)」
「I’m in love with you(君に恋してる)」
上記の英語を中学の英語レベルがあれば、これを過去形にしたり、未来形にしたり、作詞の方向性によりいくらでも変えることができます。
そのため英語が苦手な人が、作詞に使える英語を使おうとするときに重要なのは、どれだけ作詞に使えるキャッチーな英語のフレーズであったり単語を持っているかです。
次の作詞の講座は基礎講座の最終章です。作詞オンリーで作詞家のとして道を切り開くことについてを説明しています。