前ページの「ミックスダウンの順序」で紹介した手順のように、初めにドラムとベースから手を付けて、カラオケを作り、その後にボーカルを乗せる方法でミックスダウンを行う人も少なくありません。
しかし、この方法で最終的にはミックスが飽和状態になってしまう人は、自覚症状がなくてもミックスダウンの落とし穴にはまっている可能性があります。
ミックスダウンの初心者の壁と落とし穴
ミックス初心者の壁
カラオケを最初に作り、その後にボーカルトラックを乗せる方法は確かに効率的ではありますが、ミックスダウン初心者の方にとってはいくつもの落とし穴があります。
この落とし穴はミックスダウン初心者の方に訪れる最初の壁と言っても良いでしょう。ギターで言えば、初心者の壁と言われるコード「F」の壁に近いかもしれません。
ミックスの方向性を見失う
まず完璧だと思ったオケにボーカルを乗せてみて、ボーカルが聴こえづらかったりオケから浮いてしまっていたら、ボーカルトラックにコンプレッサーをかけたりイコライザー(以後EQ)で調整したりしてオケを微調整して行きます。この段階で上手く行く方は特に問題はないと思います。
落とし穴にハマる方はボーカルが入ったことにより、聴こえづらくなったパートのボリュームを上げたり、ボーカルが聴こえなければ極端にコード楽器の中域を削ってみたり、ボリュームを下げたり、オケになじませ奥行きを出そうとリバーブを掛けてしまいます。
そんなことを繰り返しているうちに初めは聴こえていた、ベースラインが消えてしまい、今度はベースラインを出そうと一番始めに作り上げたベースにコンプを掛けてみたり、EQ処理を施してしまいます。
ここまで来ると完全にミックスダウンの落とし穴にハマっています。音は飽和状態になってしまい、はじめに決めたミックスダウンの方向性どころではなく「今までのプロセスと苦労は・・・」ということになってしまいます。
ミックスダウンの落とし穴から抜けるために
気付かなければ上手く行かない
もちろんこれでも上手く行く方はまだ良いのですが、ミックスダウンの世界は奥が深いので、ほとんどの人が上手くいっていないのではないでしょうか。
また闇雲に聴こえないパートのボリュームの上げ下げを繰り返していると、何がなんだか分からなくなり、耳だけが疲れて行き、このミックスダウンの落とし穴から抜け出せなくなります。
このページの一番上の画像を見てもらえればわかると思いますが、トラック数はかなりありますので、「何となく」で修正していると整理ができなくなります。
ミックスダウンの初心者の壁はギターのコード「F」の壁とは違い、1週間、1か月といくら時間をかけて、がむしゃらにやっても、原因に気付かなければ上手く行かないところです。
落とし穴から抜ける視点を変えた簡易対処法
次の「ミックスダウンのコツ 〜ボーカルの入るスペースを意識したミックスダウン〜」では、今回紹介したこのミックスダウンの落とし穴にハマっていて、ミックスダウンが上手く行かない人のために視点を変えたメインパートを明確にする簡易対処法を紹介しています。
市販されているミックス関連書籍などに書かれている記事が難しかったり、やたら高いプラグインや機材を使用した説明もあります。
そのようなことから「金銭的なハードルが高く実感が湧かない人」「書籍を読んでも上手く行かない人」「限られた時間のなかで音楽制作をしなければならない人」に最適な内容だと思います。
NEXT → ボーカルの入るスペースを意識したミックスダウン