Bob Clearmountain(ボブ・クリアマウンテン)は世界的な大ヒット作を手がけている超一流のミキシングエンジニアです。
彼の作り出すロック・サウンドは、後の多くのエンジニアに多大な影響を与え、現在でも第一線で活躍しています。
ミックス・エンジニア Bob Clearmountain
Mixed by Bob Clearmountainというクレジット
日本でもお馴染みのBon Jovi、The Rolling Stones、David Bowie、Bruce Springsteen、Bryan Adams、TOTO、Kiss、Sheryl Crow、Roxy Musicなどヒット作のミックスを手がけています。
作品に「Mixed by Bob Clearmountain」というクレジットがあれば、その作品クオリティーは保証されていると言われるほどの、その名を知られているすごい人です。
NS10-M Studioとボブ・クリアマウンテン
現在は生産完了となりましたが、ボブ・クリアマウンテンがミックスに使用したことにより、YAMAHAの『NS10-M Studio(テンモニ)』がミックスダウンにおけるスタンダードなスタジオモニター・スピーカーになったことは、とても有名な話です。
ボブ・クリアマウンテンは音楽におけるエンジニアの重要性や、その素晴らしさをはじめ、時代が変わっても、けして色あせることがないモノが何なのかを作品を通して教えてくれます。
グラミー賞受賞歴
2006年にリリースされたBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)の14枚目のスタジオ・アルバム『We Shall Overcome: The Seeger Sessions』が、2007年のグラミー賞の「Best Traditional Folk Album(ベスト・トラディショナル・フォークアルバム)」を受賞しています。
少し驚きましたが、ボブ・クリアマウンテンのグラミー賞受賞はこの作品が初めてです。
また、2011年のグラミー賞で、スペインのシンガーソングライター Alejandro Sanz(アレハンドロ・サンス)が2009年にリリースした『Paraíso Express』が「Best Latin Pop Album(ベスト・ラテン・ポップ・アルバム)」を受賞しています。
Let It Goのミキシング・エンジニア David Boucher
日本でも社会現象になりましたが、世界中で流行ったアニメ映画『アナと雪の女王』のイディナ・メンゼル(Idina Menzel)が歌う主題歌「Let It Go(レット・イット・ゴー)」を含む歌曲10曲をミックスしたのはDavid Boucher(デヴィッド・バウチャー)です。
デヴィッド・バウチャーはボブ・クリアマウンテンのアシスタントとして活動していたことがありましたので、弟子といっても間違いないでしょう。
Mixed by Bob Clearmountain 〜おすすめアルバム〜
ボブ・クリアマウンテンのロック・サウンド
もちろん人それぞれ好みがあると思いますが、ボブ・クリアマウンテンの作り出すロック・サウンドで個人的なオススメはBon Joviの6thアルバム「These Days」に収録されているアルバムタイトル曲「These Days」。
「IT’S MY LIFE」やJ-FRIENDSに提供した「NEXT 100 YEARS」のセルフ・カヴァーも収録している『Crush』のなかの「JUST OLDER」などです。
Bryan Adamsだと『Reckless』に収録される「Summer Of ’69」「HEAVEN」、『On A Day Like Today』に収録されている「Before the Night Is Over」「I Don’t Wanna Live Forever」などのミックスがすごく好きです。
また、Sheryl Crow 『Wildflower(2005)』に収録される「Good Is Good」はグラミー賞の「Best Female Pop Vocal Performance」にノミネートされ、ミックスも素晴らしい名曲です。
他にもボブ・クリアマウンテンがミックスした日本でもお馴染みのシングル曲だとAerosmithの「Girls of Summer」、Bon Jovi の「Always」、Kelly Clarkson の「Low」「Just Missed The Train」などがあります。
ブルース・スプリングスティーン「Born In The U.S.A」
数多くのBruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)のアルバムのミックスをボブ・クリアマウンテンは手掛けています。
Mixed by Bob Clearmountainも光る1984年に発売されたBruce Springsteenの7枚目のアルバム『Born In The U.S.A.』は全米で1,200万枚、全世界で2,000万枚のビッグセールスを記録したブルース・スプリングスティーンの代表作でもあり名盤です。
> Bruce Springsteen/Mixed by Bob Clearmountain
These DaysからCrushで見せたBon Joviの復活劇
2000年以降にBon Joviのファンになった人もすごく多いと思いますが7thアルバム『Crush(2000年)』に収録される「IT’S MY LIFE」は欠かすことのできない作品です。
6thアルバム『These Days』からかなりの期間があった2000年にリリースされた『Crush』ですが、アルバム全体を通すと『These Days』はネガティブに対して『Crush』はポジティブです。
そんな単純に表現するものではないですが、両アルバムはボブ・クリアマウンテンがミックスを担当していて、『These Days』を聴いてから、『Crush』を聴くと生命力に溢れたロック・サウンドに感動すら覚えます。
他にもBon Joviのアルバムでは『Bounce(2002年)』『This Left Feels Right(2003年)』『The Circle(2009年)』でミックスエンジニアとしてボブ・クリアマウンテンの名前がクレジットされています。
2002年の『Bounce』は曲もミックスも良いのですが、マスタリングが当時過酷だった音圧競争を意識しすぎていて(仕方のないことです)、『Crush』みたいな感動は覚えませんでした。
> Bon Jovi/Mixed by Bob Clearmountain
ブライアン・アダムスとボブ・クリアマウンテン
「Summer Of ’69」「HEAVEN」などを収録する代表的なアルバム『Reckless』をはじめ、ほとんどのBryan Adams(ブライアン・アダムス)のアルバムのミックスエンジニアとしてボブ・クリアマウンテンはクレジットされています。
このサイトの「ボーカリストが歌を録音する場所」でも書いていますが、2004年に発売されたブライアン・アダムスのアルバム『ROOM SERVICE』は、ホテルの部屋にレコーディング・システムを作り、ほぼ全曲がレコーディングされています。
2008年リリースの『11』までブライアン・アダムスとボブ・クリアマウンテンは切っても切り離すことのできない関係ですが『ROOM SERVICE』も「Mixed by Bob Clearmountain」です。
> Bryan Adams/Mixed by Bob Clearmountain
ボブ・クリアマウンテンのサウンドをDAWで再現
Clearmountain’s Domain
Apogee Electronics が2019年10月にリリースした「Clearmountain’s Domain」は、Bob ClearmountainのサウンドをDAW上で再現することのできるプラグインです。
「ボブ・クリアマウンテン独自のエフェクトシグナルフロー 」「Bob Clearmountainのクラシックプリセット」「Clearmountainスペース・コンボリューションリバーブ」「リアルタイムFXビジュアライザー」が主な特徴となります。
曲名やアーティスト名がプリセットになっていてボブ・クリアマウンテンの言う「ミックスが躍動する空気感」を作り出すことができるのが「Clearmountain’s Domain」の大きな魅力です。
尚、ボブ・クリアマウンテンの妻はApogee Electronicsの所有者兼CEOのBetty Bennett(ベティ・ベネット)です。
Logic Pro Xのバーチャル・セッションプレイヤー「Drummer」
2013年07月にバージョンアップしたAppleのDAWソフト『Logic Pro X』に搭載するバーチャル・セッションプレイヤー「Drummer」は、一流のプロのドラマー&エンジニアによるドラム演奏が収録されています。
手軽に世界トップクラスのドラマーの演奏を自分の楽曲に使うことができる「Drummer」のドラム演奏は、ボブ・クリアマウンテンらが収録していて、驚くほどリアルな音のドラムトラックを完成させることのできます。