オケを先にミックスして、その後にボーカルトラックを乗せる方法で、上手く行くのは、あらかじめボーカル声質などを把握していて、オケミックスの作業の段階で特定の帯域に音が集中しないようにボーカルの入るスペースを空けているからです。
ミックスでボーカルの入るスペース
オケが家ならボーカルは?
よくミックスダウンは「ベースやドラムが土台で…」と言うように楽器を家のパーツに見立て、家を建てることと同じというように例えられます。
人は家を建てるとき、建設中に何度も建設現場に足を運ぶと思います。それはやはりその家に快適に住みたいと願うからだと思います。
ミックスダウンの過程では、オケが家ならボーカルはその家に住む人という風に考えれば良いのではないでしょうか。
どれだけ家が立派でも、住んでいる人が快適に過ごすことができなければ良い家とは言えません。ミックスダウンも同じです。
ボーカルが聴こえずらければ失敗ミックス
オケを完璧に仕上げてしまうと歌の入るスペースはなくなってしまいます。どんなに立派なオケでもボーカルが聴こえずらければ「失敗ミックス」と考えて良いと思います。
そのため歌モノのミックスでは、快適にボーカルが聴こえるようにボーカル中心に考え、歌の入るスペースを必ず作っておく必要があります。
主役はボーカルトラック
ボーカルのミキシング・ポイント
今までミックスダウンが上手く行かなかった方はミックスダウンを始める前に、まずは楽曲でメインとなるパートを明確にすることから始めて下さい。
言うまでもなく歌がメインの曲での主役はボーカルトラックで、ボーカルのミキシング・ポイントは男女で違うことはもちろんのこと、ひとりひとり声質やキーも違います。
そのため書籍に書いてあるミックスのEQやコンプ設定は参考にはなっても、すべてのボーカリストに当てはまるわけではありません。
ボーカルに向いている質の高いコンプを選ぶ
ボーカルの最重要エフェクターのひとつはコンプレッサー(コンプ)ですが、DAW標準付属しているものも含め数多くの製品があります。
ある程度ミックスに慣れてからサードパーティー製のプラグインの購入を検討する人がほとんどだと思いますが、初心者こそ、初めからボーカルに向いている質の高いコンプを選ぶべきです。
失敗のなかから覚えて行くしかない
慣れてしまえばある程度は勘が働くようになり、歌の入るスペースを意識してミックスするようになりますが、こればかりは経験なので失敗のなかから覚えて行くしかありません。
ただしポイントをつかめないままに闇雲にミックスダウンの作業を繰り返しても「ミックスダウンの落とし穴」にハマルります。
次のページではトータルのバランスを考えてメインパート中心に処理をする「ミックスダウンのコツ」について説明します。ミックスダウンが上手く行かない方には役に立つと思います。
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